新型コロナウイルスによる影響により、1年半以上にわたって入国規制を行ってきたマレーシアですが、11月29日からシンガポールとの間で空路での渡航者を対象に、新型コロナウイルスワクチンの接種完了を条件として、隔離なしで互いに入国できるようになります。
また、米国ではマレーシアからの入国が可能になったり、マレーシア政府が英国との入国規制緩和に向けた交渉を進めたりと往来に関する正常化が進んでいます。
マレーシアとシンガポールの両国が29日から、ワクチン接種完了者を対象に隔離なしでの入国を認める「ワクチントラベルレーン(VTL)」を開始した背景としては、両国ともワクチン接種率が高いことにあるようです。
まずは、クアラルンプール国際空港(KLIA)とシンガポール・チャンギ空港間の航空便での往来に適用されます。両空港間は空路で1時間足らずとなり、コロナ禍前は多くのビジネスパーソンが行き来し、世界でも利用客の多い路線の1つでした。状況を見て、マレーシア南部のジョホール州とシンガポールは「コーズウエー」「セカンドリンク」という2つの国境橋といった陸路にも適用を広げる方針です。
マレーシアのもう1つの隣国インドネシアでも、マレーシアを含む近隣5カ国を対象としたワクチントラベルレーンの導入を検討してます。イスマイルサブリ・ヤーコブ首相は8月の就任後初の外遊先として、11月9日から3日間の日程でインドネシアを訪問中となっており、ジョコ・ウィドド大統領との会談では、往来の再開も議題になるとみられています。
また、東南アジア域内のみならず、欧米諸国とも往来の再開が進みそうです。
在マレーシア米国大使館がインターネット上で公開した動画によると、11月8日から新型コロナウイルスのワクチン接種証明書および検査での陰性証明書を提示することで、米国への入国が認められることになったと伝えられています。証明書としてはマレーシア政府の新型コロナウイルス対策アプリ「マイスジャテラ」によるデジタル接種証明書も、正式な書類として認められるようです。