アンケート結果から読み解く「海外投資家の不動産投資戦略」

コラム

国土交通省は「海外投資家アンケート調査」というものを定期的に実施しています。そのなかには海外の機関投資家へ日本の不動産への投資意欲や、日本の不動産に投資する理由・投資しない理由、日本の不動産市場インフラに対する評価等も公表されています。この「海外投資家アンケート調査(平成28年度)」から注目すべきポイントを何点か取り挙げて、ご紹介いたします。

日本での目標利回りは3%~5%が6割以上

日本の不動産投資における拠出金の目標運用利回りという質問項目では、「3~5%未満(66.7%)」が最も多く、次いで、「5~10%未満(20.5%)」となっています。

海外のプロ投資家でも、不動産の目標利回りは4%~5%に据えていますので、それ以上の利回りは投資リスクが高いという認識を持っておくことが大切です。

東京は世界的に見ても投資適格エリアとして異論なし

日本における不動産投資の適格エリア(複数回答可)という質問項目では、すべての回答者が不動産投資の適格エリアとして、「東京」を挙げました。また、その他のエリアとしては「大阪」が71.8% 、「名古屋」が 48.7% となっており、東京以外の都市への投資はリスクが高いという認識を持っていることが分かります。

東京以外の都市で不動産投資を行うときは、自分自身が土地勘をしっかりと持っているか、信頼できる地元のパートナー会社とつながりがあるかなどの強みを持った上で臨むのが良いでしょう。

「3年後の投資額」増加は日本がトップ

現在の投資額と3年後の投資額の比較という質問項目では、地域別で比較した場合に「増加」「やや増加」と回答した割合は日本が55.6%で最も高いという結果でした。

日本はすでに不動産価格がかなり上昇し、利回りも低下しつつありますが、海外からは今後も投資先として期待されていることが分かります。これから不動産投資を始めようと検討している方にとっては、海外の機関投資家が日本への不動産投資を増やすということは安心材料の一つと言えるでしょう。

評価が高い「規模・流動性・安定性」。課題は情報の充実度など

投資地域の選択に際して重視する項目と日本に対する評価比較という調査項目で、日本に対する評価が高かったのは、「不動産市場の規模(68.8)」、「不動産市場の流動性(64.4)」「信頼できるパートナーの存在(59.8)」、「不動産投資関連制度の安定性(58.0)」でした。
一方で、「不動産投資関連情報の入手容易性(透明性)(0.0)」、「税優遇等の不動産投資におけるインセンティブの充実度(2.3)」などの項目は、他の地域と比べても評価が低く、透明性の高い情報や、税優遇の動向などについては海外からの関心が高いことが伺えます。

自分なりの不動産投資に関する情報源をしっかりと持ち、税制度や政策の動きに目を光らせておくことで、海外の不動産投資家よりも迅速に投資判断をすることができるでしょう。

これから不動産投資を始めたい方へ

海外の不動産投資家は、目標利回り4%~5%で、東京を中心とした主要都市での投資、流動性の高い物件への投資を中心に行っています。

また、透明性・信頼性の高い情報を入手することやパートナー会社をきちんと見つけることも大切です。

現在お持ちの投資商品を鑑みて、国内・国外、どの不動産を購入するのが最適か、専門家の意見を取り入れてみてはいかがでしょうか。

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